MENU

赤岩山は”後期ジュラ紀”起源の層状チャートできている!

目次

赤岩山とは

赤岩山は栃木県 宇都宮市 古賀志町にある山で、市街地から近いためか登山者が多く、山頂近くにはパラグライダーの離陸場があり、パラグライダーが飛び交っています。

赤岩山の東側には町名にもなっている古賀志山(標高582.8m)があり、赤岩山(標高535m)はこの山より低くかつ連なっているため、「古賀志山」とひとまとめで呼ばれることもあるようです。

スカイパーク宇都宮から見た赤岩山
図1 スカイパーク宇都宮のゲレンデから望む赤岩山

後期ジュラ紀っていつ?層状チャートって何?

後期ジュラ紀」と呼ばれる年代は、1億6350万年前±100万年から約1億4500万年前の期間です。(参照(1))
恐竜の時代ですね!
さらに「層状チャート」とは岩石の種類のことで、赤岩山では図2や図3のような外観の岩を見ることができます。
また、「チャート」とは堆積岩の一種で、これは太古のプランクトンや海綿動物の殻や骨片が海底に蓄積してできた岩石なのだそうです。(参照(2))
つまり、後期ジュラ紀にプランクトンや海綿動物が海底に蓄積し、約1億5000万年の間に層状のチャートとなった岩石で赤岩山はできています。

層状チャート
図2 赤岩山中腹にある層状チャート
層状チャート
図3 赤岩山山頂近くの「層」が斜面に直立した状態で露出した層状チャート

どうやって調べたか?

赤岩山の地質を調べるために、産総研 地質調査総合センター地質カタログを用いました。(参照(3))
図4は古賀志山周辺の地質を示しており、図2(b)の拡大図の青矢印を確認すると、”Tc”, “Tm”, “Ti”と記号が振ってあります。

古賀志山周辺の地質
図4 古賀志山周辺の地質
参照(3)の”GSJ_MAP_G050_07103_2010_F1_geotiff.tif”抜粋、補足追加

これらは、分布している岩石の種類を表しており、岩石種は図5のようになっています。

岩石の形成年代と岩石種
図5 岩石種とその形成年代
参照(3)の”GSJ_MAP_G050_07103_2010_L1.jpg”抜粋

図4(b)を見ると赤岩山を含む古賀志山周辺はほとんど”Tc”であり、図5から赤岩山の地質は「層状チャート、一部角礫化」であることが分かります。
この「一部角礫化」とは、図3の一部を拡大した図6のような状態だと思います。
赤岩山山頂近くでは、層状チャートから欠けてしまった数センチ大の角礫がゴロゴロしています。

層状チャート一部角礫化
図6 層状チャートの一部角礫化の様子

また、図5の左側にある「後期ジュラ紀」が岩石の起源の年代をあらわしています。つまり、赤岩山は後期ジュラ紀起源の岩石でできているということになります。

図5に「栃木コンプレックス」とありますが、コンプレックスとは層序(地層のできた順序)のことだそうで、図5にあるTs, Ta, Tm, Ti, Tcの構成を指しているようです。


少し戻って図4(a)のA-B-Cラインの地層断面は図7のようになっているようです。

古賀志山地質断面図
図7 図2(a)のA-B-C断面とB-C断面の拡大図
参照(3)の”GSJ_MAP_G050_07103_2010_S1.jpg”

古賀志山山頂の標高は582.8mですが、図7の”B”の古賀志山部分を見ると、”Sea level”の深さまで”Tc”となっており、これを見ると赤岩山を含む古賀志山は層状チャートの塊でできている山と言ってよさそうです。

最後に

今回は、私が普段、パラグライダーでお世話になっている赤岩山に焦点をあてましたが、とうぜん他の山についても地質カタログを用いて岩石の分布やその地質年代を調べることができます。
これから登る山につて調べれば、登山中の景色だけではなく、足元の石ころにも興味が湧いて、登山がより楽しくなることと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参照

(1) ウィキペディア / 後期ジュラ紀https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A9%E7%B4%80

(2) ウィキペディア/チャート
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88_(%E5%B2%A9%E7%9F%B3)

(3) 産総研 地質調査総合センター / 地質図カタログ / 5万分の1地質図幅 /7.新潟 / 宇都宮
https://www.gsj.jp/Map/JP/geology4-7.html

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次